在留手数料値上げ|特定技能介護の負担額と事業所の対策


最終更新:2026年10月22日

執筆

伊東 亜樹(有限会社S.A.アソシエーション 代表)

介護支援専門員・介護福祉士・相談支援専門員。特別養護老人ホームの現場職員から施設長、法人本部での企画・運営を経て、現在も現役のケアマネジャーとして支援の現場に立つ。介護分野に特化した登録支援機関として、外国人介護人材の採用・定着・国家試験合格を支援。

「更新のたびに3万3,000円って、本当ですか?」

本当です。2026年10月1日以降に受け付けられた在留資格の変更・更新の申請から、在留許可の手数料が変わりました。これまでは在留期間に関係なく一律6,000円(オンライン申請は5,500円)。それが、許可される在留期間の長さで金額が決まる仕組みになり、1年の許可なら窓口で33,000円、5年以上なら75,000円です。永住許可は10,000円から200,000円になりました。

特定技能「介護」で働く職員の在留期間は、1年で出ることが珍しくありません。1年更新のたびに33,000円。本人にとっては、月の仕送りがまるごと消える金額です。正直、重い。そして、その本人を雇っている事業所にとっても、他人事ではありません。

この記事では、新しい手数料の中身と、特定技能介護の職員1人で5年間にいくら掛かるかの試算、そして一番よく聞かれる「誰が払うんですか」という問いに、私の考えを書きます。岐阜の事業所が今週中に手を付けられることまで書きます。

1.結論:10月1日受付分から、1年更新は6,000円が33,000円に

まず事実を押さえます。出入国在留管理庁(入管庁)は、令和8年10月1日付けで在留許可手数料の額を改定しました。根拠は改正された入管法施行令第25条第1項です。対象になるのは、在留資格変更許可、在留期間更新許可、永住許可の3つ。海外から人を呼ぶときの在留資格認定証明書交付申請は、これまでどおり無料です。

いちばん大事なのは「いつから」の線引きです。入管庁の文言はこうです。「令和8年9月30日までに受付した申請に対する許可については、当該申請に係る許可が令和8年10月1日以降となっても、改定前の手数料の額を納付することとなります」。つまり基準は許可日ではなく受付日。9月中に出した更新は、許可が11月にずれ込んでも6,000円で済みます。逆に10月1日以降に出した申請は、すべて新しい額です。

再入国許可(1回限り3,500円、数次6,500円)と就労資格証明書(1,600円)は据え置きです。ただしオンライン申請では、10月1日以降、別途220円の決済手数料が掛かります。

入管庁はこの仕組みを、長期の在留期間を得る人ほど1年あたりの負担が低くなるように設定したと説明しています(入管庁Q&A)。裏を返せば、1年ごとの更新を繰り返す人がいちばん割を食う。特定技能1号は、まさにその「1年ごと」になりやすい在留資格なんです。

現場からの視点

朝の申し送りが終わったあと、特定技能の職員がスマホの画面を見せながら「更新の案内に33,000円って出てます。間違いですよね」と聞いてくる。10月以降、こういう場面がどこの事業所でも起きていると思います。

私はこの値上げに賛成していません。5.5倍という上げ幅は、介護で働く人に重すぎる。ただ、反対していても10月1日は来ました。受け入れる側として一番まずいのは、「知らなかった」のまま更新の時期を迎えて、本人が窓口で立ち往生することです。金額は、先に、こちらから見せる。それが最低限の礼儀だと思っています。

2.新しい在留許可手数料の一覧(在留期間別・窓口とオンライン)

在留資格の変更も在留期間の更新も同じ表です。在留資格の種類による区分はなく、「許可される在留期間」だけで決まります。

※ 表は横にスクロールできます

許可される在留期間 改定前(窓口/オンライン) 改定後・窓口 改定後・オンライン
3月以下 6,000円/5,500円 10,000円 10,000円(+決済手数料330円)
3月超6月以下 同上 18,000円 15,000円(+330円)
6月超1年未満 同上 25,000円 21,000円(+330円)
1年 同上 33,000円 27,000円(+330円)
1年超3年未満 同上 48,000円 42,000円(+330円)
3年以上5年未満 同上 64,000円 56,000円(+550円)
5年以上 同上 75,000円 65,000円(+550円)
永住許可 10,000円(窓口のみ) 200,000円 対象外

出典:出入国在留管理庁「令和8年10月1日付け在留許可手数料の額の改定等について」リーフレット、「オンライン申請における手数料額及び手数料納付方法について」をもとに作成

納付の仕方も変わりました。窓口申請はこれまでどおり収入印紙ですが、オンライン申請は収入印紙が使えなくなり、コンビニ決済か銀行決済(Pay-easy、インターネットバンキング)だけになりました。クレジットカードもQRコード決済も使えません。支払いは在留カードを受け取る前日まで、決済完了メールはカードを受け取るまで保管、と入管庁は案内しています。

手数料の納付を装った詐欺メールに注意

オンライン申請の決済案内は「@service-dgft.com」から、決済完了の通知は「@veritrans.jp」から届きます。これ以外のアドレスから納付を求めるメールは詐欺だと入管庁が注意喚起しています。「入管からのメールは、まず事業所か登録支援機関に見せてから払う」と職員と決めておくと安全です。

3.特定技能「介護」の職員1人で、5年間にいくら掛かるか

特定技能1号の在留期間は、入管庁の在留資格一覧表で「法務大臣が個々に指定する期間(3年を超えない範囲)」とされ、通算で原則5年までです。どの長さで許可が出るかは審査次第です。ここでは、いちばん負担が重くなる「1年の許可が続く」前提で試算します。

33,000円1年の更新1回あたり(窓口)
改定前は6,000円
132,000円特定技能1号を5年、1年更新×4回の
手数料合計(窓口)
200,000円永住許可の手数料
改定前は10,000円

出典:出入国在留管理庁の改定後手数料をもとに筆者が計算(決済手数料を除く)

試算A:海外から在留資格認定証明書で入国し、1年更新を4回

入国時に手数料は掛かりません。2年目から5年目まで毎年1回の更新で、33,000円×4回=132,000円(窓口)。オンラインなら27,000円×4回=108,000円に決済手数料330円×4回が加わります。改定前なら窓口24,000円でした。

試算B:国内の技能実習や留学から特定技能に変更し、その後1年更新を4回

変更時に1年の許可が出れば33,000円、その後4回の更新で132,000円。合計165,000円(窓口)、オンラインなら135,000円です。改定前は5回分で30,000円でした。

試算C:介護福祉士に合格し、在留資格「介護」に変更する

在留資格「介護」の在留期間は「5年、3年、1年又は3月」です。もし5年の許可が出れば、変更時に75,000円(オンライン65,000円)を1回払えば、次の手続きは5年後。1年あたりに直すと15,000円で、特定技能の1年更新の半分以下になります。

現場からの視点

私は、この試算表をそのまま面談室で本人に見せることを勧めています。1年更新で5年なら13万2,000円。介護福祉士を取って在留資格「介護」に変われば、更新は5年に1回になりうる。しかも通算5年の上限が消え、訪問系サービスの同行や適合確認の縛りもなくなる。

手数料の値上げを前向きに使う方法は、正直これしか思いつきません。「国家試験を受けなさい」と言っても人は動きませんが、「合格すると、あなたが払うお金がこれだけ減る」は動きます。面談でこの表を見た職員が、次の日から問題集を開く。そういう使い方をしてほしいんです。

4.誰が払うのか。法律の建前と、現場の実際

制度の文言と、実務でどう扱うかを並べます。

  1. 1. 「在留許可を受けるには、外国人本人が所定の手数料を納付する必要がある」(入管庁Q&A)納付義務者は本人。ただし、事業所が負担してはいけないという規定はない。負担するかどうかは事業所の判断
  2. 2. 特定技能では、1号特定技能外国人支援に要する費用を本人に負担させてはならない登録支援機関への委託費や支援の費用は事業所負担。在留許可手数料は「支援に要する費用」ではなく、本人が国に納める手数料なので、この規定の対象外
  3. 3. 賃金は全額を本人に支払わなければならない(労働基準法第24条)事業所が立て替えて給与から差し引くなら、労使協定と本人の書面同意が必要。口頭の「天引きしておくね」は違法になりうる
  4. 4. 介護ニュースJOINT(2026年8月25日)は「受け入れ施設が手数料を代わりに負担するケースが多い」と報じた事業所負担のところもあれば、本人負担のところもある。どちらにしても、採用時と更新前に金額と負担者を本人に伝えているかどうかで、揉めるか揉めないかが決まる
現場からの視点

私の考えは「本人が払う」です。現状、私の関わる現場でも本人負担が基本です。理由は筋の問題で、在留資格は本人のものであり、納付義務も本人にある。日本人職員には在留手続きがそもそもない。「差別はあってはならないが、区別は必要」と私は言い続けていますが、本人の身分に関わる手続きの費用を本人が持つのは、差別ではなく区別です。永住許可の20万円も同じで、本人の人生の選択に関わる手続きですから、本人負担でいい。

ただし、本人負担にするなら事業所がやるべきことが3つあります。1つ目、採用時と更新の半年前に、金額を母語で伝えること。当日に知らされるのと半年前に知らされるのでは、本人の受け止めがまるで違います。2つ目、一度に払えない人には立替えや分割の相談に乗ること。給与から差し引くなら労使協定と本人の書面同意が要りますし、退職時に返せという定めは特定技能で禁じられている違約金に当たるおそれがあるので、立替えの条件は書面で軽く短くしておくこと。3つ目、介護福祉士を取れば負担が減ることを数字で見せることです。

事業所が負担するのを否定はしません。ただ、払ってあげることと、本人が自分の在留を自分で管理できるようになることは別です。私は後者を育てたい。だから本人負担で、事業所は「知らせる、相談に乗る、ゴールを見せる」に徹する。それが私の答えです。

5.事業所が今すぐやる5つのこと

順番どおりに進めれば1週間で形になります。

  1. 在留期限を棚卸しする

    外国人職員全員の在留カードの期限を一覧にします。更新申請は期限の3か月前から出せます。「次の更新がいつ、何人、いくらか」を来年度分まで一覧にしてください。

  2. 負担ルールを決めて、文書にする

    本人負担が基本なら、そのことと、立替えや分割に応じる場合の条件、退職時の扱いを決めます。雇用契約書か就業規則に落とし、本人には母語で説明します。支援を委託しているなら、登録支援機関の定期面談で説明してもらうのが確実です。

  3. オンライン申請の体制をつくる

    1年の更新で窓口33,000円、オンライン27,000円。本人の財布から見れば、1人あたり6,000円の差が毎年出ます。所属機関の職員が申請等取次者の承認を受けて利用申出をするか、登録支援機関に取次を頼むかを決めてください。詳しくは次の章で。

  4. 資金繰りと予算に入れる

    本人負担でも、立替えに応じる分は資金が要ります。「更新人数×金額」を目安に来期予算を見ておきます。窓口申請なら収入印紙は現金で買います。在庫の少ない郵便局では揃わないことがあるので、規模の大きい郵便局で用意しておくと慌てません。

  5. 介護福祉士へのルートを計画に書く

    キャリアアップ計画や面談記録に、国家試験の受験年と学習の進め方を書き込みます。第39回試験の筆記は2027年1月31日、合格発表は3月23日。合格すれば在留資格「介護」への変更申請に進めます。

6.手数料を抑える2つの道:オンライン申請と介護福祉士の取得

道1:オンライン申請に切り替える

入管庁の在留申請オンラインシステムを使えるのは、所属機関の職員(申請等取次者の承認を受けた人)、登録支援機関の職員、弁護士・行政書士、本人などです。自前でやるなら地方出入国在留管理局への利用申出が要ります。支援を委託しているなら、登録支援機関に取次を頼むのが早い。どこに頼むにしても「オンラインで出せますか」と一言確認してください。登録支援機関の選び方はこちらの記事に書きました。

注意点を1つ。オンライン申請は在留期間の最終日には出せません。期限ぎりぎりの申請は窓口になり、6,000円高くつきます。

道2:介護福祉士を取って、在留資格「介護」に変える

手数料だけの話ではありません。在留資格「介護」になれば、通算5年の上限がなくなり、家族の帯同も可能になり、訪問介護に出すときの遵守事項や適合確認も要らなくなります。そのうえで、5年の許可が出れば手数料は5年に1回です。

目の前の節目は、第39回介護福祉士国家試験です。筆記試験は2027年1月31日、合格発表は3月23日。受験手数料は20,510円で、試験地には岐阜県が入っています。第38回から始まったパート合格制度では、合格したパートは翌年の受験が免除されます。

特定技能1号の5年目に受験してパート合格があり、総得点が合格基準点の8割以上なら、通算在留期間を延長する措置があります。受入れ機関が厚生労働省に確認依頼書と学習計画を郵送し、結果確認通知書を添えて入管に申請します。この延長の更新にも新しい手数料が掛かります。

現場からの視点

夜勤明けの休憩室で、眠い目をこすりながら一問一答を解いている職員を見ると、私はいつも「この人の勉強時間は、誰が守っているんだろう」と思います。試験まで、この記事が出る日でちょうど100日。本人の努力に任せきりで受かる試験ではありません。

事業所にできることは、勉強の時間を作ることと、やり方を仕組みにすることです。週に1回、勤務時間内に30分、問題を解く時間を認める。シフトを組む人が「試験前の1月は夜勤を減らす」と決める。教材の良し悪しより、続く仕組みがあるかどうかで結果が分かれます。当社が完全オンラインの介護福祉士合格支援プログラム(CCW)を作ったのは、その仕組みを事業所の外から支えるためです。手数料が上がった今、合格は本人にとっても事業所にとっても、一番確実な節約になりました。

7.岐阜県の事業者が使える支援と、特定技能の受入れ枠の現在地

岐阜県には、県内の介護サービス事業者が外国人介護人材の日本語学習に掛けた経費を補助する岐阜県外国人介護人材日本語学習支援事業費補助金があります。令和8年度は、基準額が外国人介護人材1人あたり150,000円、補助率2分の1、1事業所あたり300,000円が上限。受付は令和8年11月13日(金曜日)までで、予算の上限に達し次第終了です。申請期限は補助事業を始める月の前月15日なので、12月から始めるなら11月13日が事実上の締切です。値上げ分を、この補助金で少しでも取り返してください。

特定技能の受入れ枠も見ておきます。入管庁が10月6日に更新した資料では、介護分野の受入れ見込数126,900人(令和11年3月まで)に対し、在留者は81,436人(令和8年7月末、速報値)で、充足率は64.2%。枠が埋まれば新規の受入れが止まる仕組みなので、採用を考えている事業所は早めに動いたほうがいい。協議会の手続きは前々回の記事にまとめています。

もう1つ。2027年4月には技能実習に代わる育成就労が始まり、同じ月に1号特定技能外国人への支援体制の要件も改正されます。手数料の表は在留資格を問わず共通なので、育成就労で受け入れる人の変更・更新にも同じ額が掛かります。

8.よくある質問

9月に更新を申請して、許可が10月以降に出た場合の手数料はいくらですか?

改定前の額(窓口6,000円、オンライン5,500円)です。基準は許可日ではなく受付日で、令和8年9月30日までに受け付けられた申請は、許可が10月1日以降になっても改定前の額を納付します。

3年で申請したのに1年の許可しか出なかった場合、手数料はどうなりますか?

手数料は申請時に希望した期間ではなく、実際に許可された在留期間で決まります。1年の許可なら窓口33,000円、オンライン27,000円です。窓口申請では許可時に収入印紙で納付するので、許可された期間を確認してから印紙を用意できます。

海外から呼ぶときの在留資格認定証明書も値上げされましたか?

いいえ。在留資格認定証明書交付申請は無料のままです。手数料が掛かるのは、入国後の在留期間更新、在留資格の変更、永住許可の3つです。

手数料は本人負担にして問題ありませんか?

問題ありません。納付義務者は外国人本人であり、本人負担が制度上の原則です。事業所が負担することも禁じられてはいませんが、どちらにするかは雇用契約書か就業規則に明記し、採用時と更新前に本人へ説明してください。立て替えて給与から差し引く場合は労使協定と本人の書面同意が必要です。

オンライン申請は誰ができますか?

所属機関の職員(申請等取次者の承認を受けた人)、登録支援機関の職員、弁護士・行政書士、本人などです。事業所が自前で行うには地方出入国在留管理局への利用申出が必要です。在留期間の最終日には申請できないので、余裕をもって準備してください。

9.まとめ

押さえる点は3つ。2026年10月1日以降の受付分から、変更・更新の手数料は在留期間別になり、1年の許可で窓口33,000円、オンライン27,000円。特定技能1号を1年更新で5年なら、手数料だけで132,000円。介護福祉士を取って在留資格「介護」に変われば、5年の許可で1回75,000円まで下がりうる。

私からの提案は、手数料は本人負担を基本にしつつ、金額を採用時と更新前に必ず伝え、立替えや分割の相談に乗る体制を文書にすること。オンライン申請の体制を今月中に作ること。そして試算表を本人に見せて、介護福祉士というゴールを一緒に書くことです。

値上げは、こちらの都合では止められません。でも、値上げをきっかけに「この人を5年後どうしたいか」を本人と事業所が一緒に考えるなら、その3万3,000円は無駄にならない。私はそう思って、面談の席に試算表を持っていきます。

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出典・参考資料

※本記事は2026年10月22日時点の公開情報をもとに作成しています。制度の要件や手続きは変更されることがあるため、実際の手続きにあたっては所管の窓口で最新情報をご確認ください。「現場からの視点」は筆者の経験に基づく見解です。手数料の試算は決済手数料を含まない概算で、実際に許可される在留期間によって異なります。