管理職が「答え」を出しすぎると、現場は静かに止まっていく

当時の私は、
「管理職は判断する人間だ」
そう思っていました。

迷っている現場を見ると、
早く結論を出さなければいけない。
止まっている時間はムダだ。
そう考えていました。

だから私は、
とにかく答えを出すのが早かった。

現場が止まっているように見えた理由

今なら分かります。
現場が止まっていたのではありません。

止めていたのは、私でした。

職員が何かを相談してくる。
私は最後まで聞く前に、こう言っていた。

「それはこうした方がいい」
「前例ではこうだ」
「時間がないから決めるね」

一見すると、
頼れる上司に見えていたかもしれません。

でも現場では、
少しずつ変化が起きていました。

人は、答えを出され続けると考えなくなる

人は不思議なもので、
答えを出してもらえる環境にいると、
自分で考えなくなります。

・どうせ最後は上が決める
・考えても意味がない
・言っても変わらない

こうして現場から、
「考える力」が抜けていきました。

私はそれを、
「指示待ちが多い」
「主体性がない」

そう評価していました。

完全に、
自分で作った状況だったのに。

管理職の安心と、現場の萎縮

正直に言えば、
答えを出すことで、
一番安心していたのは私自身です。

・判断している実感
・コントロールできている感覚
・責任を果たしているという自己満足

でもその裏で、
現場はどんどん萎縮していました。

失敗したくない。
変なことを言いたくない。
間違えたくない。

だから、
黙る。

「早く決める」は、優しさではなかった

当時の私は、
「迷わせないために決めている」
そう思っていました。

でも今ならはっきり言えます。

それは優しさではありませんでした。

考える機会を奪っていただけです。

人は、
考えるから納得します。
納得するから動きます。

順番を飛ばしてはいけなかった。

今の自分なら、こうする

今なら、
すぐに答えを出しません。

まず聞きます。

「君はどう思う?」
「選択肢は何がある?」
「一番怖いのはどこ?」

沈黙があっても待つ。
まとまっていなくても待つ。

管理職が耐えるべきなのは、
この時間だったんです。

マネジメントで本当に必要だった力

この経験から学んだのは、
管理職に必要なのは「決断力」だけではないということ。

むしろ重要なのは、

・待つ力
・問いを投げる力
・未完成を受け止める力

でした。

現場は、答えを求めているわけじゃない

現場が欲しかったのは、
正解ではありません。

一緒に考えてくれる人。
間違えても戻れる場所。
責任を背負ってくれる存在。

私は、
答えを出すことで、
それらを置き去りにしていました。