福祉は「ボランティア」ではない。経済活動が「人を大事にする」ための絶対条件である理由

「人を大事にしたい」
福祉・介護の世界を志す方の多くが、この温かい想いを胸に抱いています。しかし、現場を支える経営者やリーダーとして、私はあえて皆さんに問いかけたいことがあります。

「人を大事にすること」と「経済活動(利益を上げること)」、果たしてどちらが先でしょうか?

結論から言えば、どちらも欠かせません。しかし、私は「健全な経済活動があってこそ、初めて人を大事にすることができる」と確信しています。

マンモスを狩らなければ、村は崩壊する

昔、ある学習でこんな問いを教わりました。
「マンモスを狩るのが先か? 食べるのが先か?」

答えは明白です。まずマンモスを狩り(成果を出し)、その成果を分け合って食べる(報酬を得る)のが自然の摂理です。

もし、狩りに行く前に「まず食べさせてくれ、お腹が空いて動けない」と全員が食べることを優先してしまったら、その村はどうなるでしょうか? 蓄えは底をつき、狩りに出る力も失われ、村は崩壊してしまいます。

これは現代の事業運営でも全く同じです。
「給与が低い」「待遇が悪い」という不満(=食べること)を、成果(=狩り)よりも優先して主張する人が組織の中にたった一人でもいたら、そのネガティブな連鎖は一気に広がり、チーム全体が共倒れになってしまいます。

「お金稼ぎ」への抵抗感が、キャリアを台無しにする

福祉業界には、いまだに「お金稼ぎ」という言葉に強い抵抗感を示す方が少なくありません。利益を追求することを「悪」のように感じてしまう風潮です。

しかし、この誤解こそが、実はスタッフ自身のキャリアを台無しにする最大の要因になり得ます。私たちはボランティア活動をしているのではありません。プロフェッショナルとして価値を提供し、対価をいただく「事業」を行っているのです。

経済活動は、人を守るための「盾」である

なぜ、経済活動(マンモスを狩ること)が先なのか。それは、利益がなければ「人を大事にするためのリソース」が生まれないからです。

    スタッフに適切な給与を支払う

    心にゆとりを持てるような人員配置をする

    現場の負担を減らす設備を導入する

これらはすべて、事業が経済的に自立していなければ実現できません。「想い」だけで人を大事にしようとしても、無理な働き方や自己犠牲が続けば、いつか必ず現場は崩壊します。

「プロとしての誇り」が未来を創る

「稼ぐこと」を肯定することは、利用者様を軽視することではなく、最高のサービスを持続的に提供し続けるための「責任」です。

自らの仕事に経済的な価値があることを認め、まず「マンモスを狩る(価値を生む)」ことに集中する。その成果を還元することで、スタッフが安心して「目の前の人を大事にする」ことに集中できる環境が整います。

福祉の仕事に誇りを持つからこそ、私たちは「ボランティア」という言葉の甘えを捨て、プロとしての経済感覚を磨かなければなりません。

追伸:
この「福祉と経済」の本質的な話も、先日、私がとても大切にしている方との会食の中で得た気づきをブログにしたものです。理想を形にするための「力」としての経済活動。これからもこの両輪を大切に、業界の底上げに寄与していきたいと思います。