新人教育も“壊れ窓”に要注意

教え方の乱れは現場全体を崩す


「前はこう教えてたのに、今はみんな自己流」
「マニュアルがあるのに、新人によってやり方が違う」
「ベテランが忙しくて、OJTがその場任せになっている」

──こんな現場の悩みをよく聞きます。

私はこの状態を**“新人教育の壊れ窓”**と呼んでいます。


■ 壊れ窓理論とは?

壊れ窓理論は、
「壊れた窓を放置すると、やがて街全体が荒れる」という考え方です。

介護や福祉の現場では、
“決まりを守らない人がいる” → “誰も注意しなくなる” → “現場の質が下がる”
という連鎖が、まさに壊れ窓現象です。

新人教育も同じです。
最初のズレや乱れを放置すると、現場の質は確実に下がっていきます。


■ 新人教育で起こりやすい“壊れ窓”の例

  • 新人への声かけ・敬語が雑になっている

  • 新人指導のやり方が人によってバラバラ

  • 「とりあえず現場で覚えて」の丸投げ育成

  • マニュアルやルールが形骸化している

  • 「昔はこうだった」の個人ルールを押しつけている

最初は「忙しいから仕方ない」で済まされても、
次第に現場の“当たり前”が崩れていきます。


■ 壊れ窓を“その場で直す”ことが大事

私が定着支援で最も大切にしているのは、
「小さなズレ」をすぐに修正することです。

新人教育でも同じです。

  • 説明不足 → その場で補足

  • 雑な指導 → その場でやり方の確認

  • マニュアル無視 → 必ず立ち戻らせる

「まあいいや」を積み重ねないことが、
崩壊の連鎖を止める唯一の方法です。


■ 新人教育は“現場の質のバロメーター”

新人が迷いなく業務を覚えられているかは、
その現場の教育体制=現場の質をそのまま表します。

  • 教える人が育っている

  • 教え方が標準化されている

  • 誰が指導しても質がブレない

これができている現場は、新人も外国人スタッフも安心して長く働けます。


■ まとめ:“新人教育の壊れ窓”は最初のズレを放置すること

壊れ窓をそのままにすると、
新人が「こんなもんか」と思ってしまい、

  • ルールが守られなくなる

  • 自己流が横行する

  • 現場の質がどんどん下がる

という悪循環になります。

だからこそ、私は新人教育にも壊れ窓の視点を持ち、
どんな小さなズレもその日のうちに正すことを心がけています。

“誰かが気づけば直せる”
“最初の一歩を放置しない”

それが、崩れない現場づくりのカギだと考えています。