定着支援は“ライン外”がちょうどいい

言えないことに届くのが、私たちの仕事


「厳しいことを言ったら、辞めてしまうかもしれない」
「本音を話せる相手がいない」
「施設の想いが、本人にうまく伝わらない」

そんなとき、“会社の一員ではない私たち”が入る意味が出てきます。

当社では、外国人スタッフの定着支援において、
企業のピラミッドの“外側”、いわばライン外のポジションで関わることを大切にしています。

それは、“組織の一部”ではできない支援があると感じているからです。


■ ライン外の立場だからこそ、厳しいことが言える

職場内で「それはちょっと違うよ」と言うのは、簡単ではありません。

  • 上司が指摘するとパワハラになりかねない

  • 同僚が注意すると関係がぎくしゃくする

  • 言われた外国人スタッフは、「辞めようかな」となってしまうこともある

つまり、現場の人は本当に言いたいことを言えないという構造があります。

でも、私たちはライン外の支援者です。

だからこそ、

  • 「これは危ないから直そう」

  • 「その行動はちょっと配慮に欠ける」

  • 「この言葉づかいは誤解を生むよ」

といった厳しさを含んだ助言を、誤解なく伝えることができます。


■ 「外の人」が言うから伝わることもある

不思議なことに、
同じ内容でも、“外の人”が言うと素直に受け止められることがあります。

たとえば──

  • 施設管理者が「もっと丁寧に対応してほしい」と言うと“注意”になる

  • 私たちが「〇〇さんの優しい対応、他の職員も見てるよ。もう一歩声かけ増やせるといいね」と言うと“応援”になる

これは、利害関係のない“第三者の立場”が持つ独特な効力です。

私たちは、「指導者」ではなく「中立の支援者」として入ることで、
現場に緊張感を与えずに、必要なメッセージを届けることができます。


■ 管理者の“真意”を翻訳して届ける役目

もう一つ、ライン外の支援者が担う重要な役割があります。

それは、施設の管理者の「本当の思い」を外国人スタッフに伝えること。

たとえば──

  • 「最近ちょっと厳しく言ってしまったけど、本人は本当に期待している」

  • 「もっとチャンスを与えたいけど、他の職員とのバランスも考えてる」

  • 「頑張ってくれているのは分かっているけど、気になる点もある」

こうした**“言葉にできない本音”を、
私たちが
噛み砕いて、誤解なく伝える**ことで、関係性が保たれるケースも多くあります。


■ 定着支援は、“どちらにも偏らない”第三者が必要

  • 現場の声をそのまま経営者に伝える

  • 外国人スタッフの想いを感情的にならず整理して伝える

  • 施設側の方針を、きちんと“伝わるかたち”で届ける

こうした**「橋渡し」の機能は、内部の人間だけでは成り立ちにくい部分**です。

私たちは、企業の組織図には存在しないけれど、
現場の信頼と調整の“裏方”として、常にラインの外から関わり続けています。


■ まとめ:ライン外だから、できる支援がある

定着支援とは、単に困りごとを解決することではありません。

  • 職場の温度感

  • 言葉にしにくい違和感

  • 小さな誤解の芽

  • “誰も言わないけど、みんな思ってること”

これらをすくい上げ、整理し、両者に届ける──
それがライン外支援者の役目です。

だからこそ私たちは、
「ただの支援者」ではなく、
“関係を整えるマネジメントの一員”として、外側からチームに関わるというポジションにこだわり続けています。