すべてを真に受けず、でも何もスルーしない
「○○さんが冷たい」
「なんか最近つまらない」
「ここ、思ってたより大変です」
外国人スタッフとの定着フォローの中で、
こうした“モヤモヤ”や“ぼやき”のような言葉が出てくることはよくあります。
ここで大事なのは、すべてを「課題」として重く受け取らないこと。
でも同時に、「全部愚痴だ」と切り捨てないことでもあります。
私は定着支援の中で、
「これは課題か?それとも愚痴か?」を瞬時に分ける力をとても大切にしています。
■ 「愚痴」は流す。「課題」なら即動く
すべての発言に過剰反応していては、
現場の空気を乱したり、不必要な混乱を生んでしまうこともあります。
でも、課題を見逃すと、小さな違和感が大きな離職理由になることもあります。
だから私はこう決めています:
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愚痴 → スルー(流す・共感だけして終わる)
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課題 → その場で要点を整理して、即行動
この切り分けができると、支援が非常にスムーズになります。
■ どう見分ける?「愚痴」と「課題」のちがい
以下が、私が実際に使っている判断ポイントです:
✅ 愚痴の特徴
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感情の吐き出しがメイン
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話がふわっとしていて具体性がない
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同じ内容が何度も繰り返される
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「〜だと思う」「〜かもしれない」など主観が多い
🟦 対応方法:
共感だけして受け流す。「そう感じたんだね」「それはしんどかったね」などで終了。
✅ 課題の特徴
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具体的な状況や人物、時間が明確
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「○○が分からなかった」「□□が足りない」など改善可能な要素がある
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放置するとミスや事故につながる
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当事者が“どうにかしたい”という意欲を持っている
🟩 対応方法:
内容を確認し、その場で対応策を整理。「それは〇〇に確認しておくね」「すぐ資料を見直そう」など、即アクション。
■ 「聴く姿勢」だけはどちらにも共通
愚痴も課題も、まずは否定せずに聴くことが大前提です。
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「そんなの気にしすぎだよ」
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「日本人でもそれはあるよ」
──こうした“否定から入る返答”は、話し手の信頼を一瞬で失います。
たとえ愚痴でも、**「この人はちゃんと受け止めてくれる」**という印象があれば、
本当に困ったときに相談してくれるようになります。
■ 定着支援=「聴く」だけでは終わらせない
よく「支援者は傾聴が大事」と言われますが、
私はそこに**“見極め”と“動き”がなければ片手落ち**だと感じています。
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愚痴は吐き出す場があるだけでスッキリする
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課題はそのままにしておくと離職理由になる
だから、「どちらかを見極めて、必要な方だけ即対応する」
これが、私が大切にしている定着フォローのスタンスです。
■ まとめ:「言葉の奥」にある真意を拾い続ける
定着支援は、目に見えないズレや違和感を調整し続ける仕事です。
「なんか違うんですよね」
「前よりやりにくくなった気がする」
そんな一見ふわっとした言葉の中にこそ、
本音の“課題”が隠れていることもあります。
だから私は、全ての言葉を丁寧に聴きながらも、すべてを問題化しない。
その中で、「これは動くべきだ」と思った瞬間には、すぐに現場とつなげて解決に向かいます。
課題にすぐ動くこと。
愚痴に過剰反応しないこと。
その両方が、信頼される支援者であるための土台だと思っています。