定着支援に私がこだわる理由
私は、登録支援機関として外国人スタッフの受け入れをサポートしていますが、
とりわけ重視しているのが「定着支援」です。
単にビザや書類の更新だけでなく、
“その人が現場に根づく”ために何をするか。
そこに時間とエネルギーを最もかけています。
なぜか。
理由はひとつ。
「壊れ窓」は、放っておくと現場全体を壊してしまうからです。
■ 壊れ窓理論が教えてくれること
壊れ窓理論とは、
「割れた窓を放置すると、やがて犯罪が増える」という理論です。
介護の現場でもまったく同じことが起きます。
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車椅子に座った利用者の腕がダランと落ちていても、誰も直さない
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利用者の名前を“ちゃん付け”や“あの人”で呼び始める
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記録がどんどん雑になる
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注意しても「別にいいじゃん」という空気が漂う
こうした“小さな乱れ”をそのままにしておくと、
やがて現場のケア品質も、チームの士気も、ゆっくりと壊れていくのです。
■ “その場で指導”を徹底する理由
私は現場に入ったとき、何気ない一瞬の様子も見逃しません。
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利用者さんの手が車椅子の肘掛けから落ちたままになっている
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新人スタッフが利用者にタメ口を使っている
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名前でなく「この人」と呼んでいる
──こうした場面に出会ったときは、その場ですぐに指導します。
厳しいように見えるかもしれませんが、私はこれを「指導」ではなく「支援」だと考えています。
小さなエラーのうちに修正できるかどうかが、現場の未来を左右するからです。
■ 定着とは、“その人だけ”を支援することではない
外国人スタッフの定着支援とは、
その人が長く働き続けられるようにするだけではありません。
その人を受け入れる側の現場も、整えていく必要がある。
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間違った言葉づかいを放置していないか
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ミスに気づいても、見て見ぬふりをしていないか
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“慣れ”が、ケアの質を下げる言い訳になっていないか
こうした「現場のゆるみ」に光を当てて、
“このままでいい”を“少しずつ戻す”ことが、本当の定着支援だと私は考えています。
■ 「また指摘されるかな」と思ってもらえる存在に
「伊東さん、また来た…ちょっとピリッとするね」
と言われることも、実はよくあります(笑)
でもそれでいいと思っています。
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“ちゃんと見てくれている”
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“当たり前を当たり前にしてくれる”
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“現場の歪みに気づいてくれる”
そんな存在であることが、
現場にとっても、外国人スタッフにとっても、長く働き続けられる空気をつくるのです。
■ まとめ:壊れ窓は“見える人”が直せばいい
現場には、日々さまざまな「壊れ窓」が生まれます。
放っておけば当たり前になり、やがて職場の質が下がります。
でも逆に言えば、
それに気づける人がいれば、直すことができる。
だから私は、定着支援に力を入れます。
そして、現場の“気づき役”であり続けたいと思っています。
「また来てくれたんですね。ピリッとするけど、ありがたいです」
──そんなふうに言ってもらえる現場を、これからもひとつずつ増やしていきます。