介護分野の外国人材制度は、2027年4月に大きな節目を迎えます。技能実習が「育成就労」に置き換わり、同じ日に特定技能の支援体制ルールも厳しくなります。
特定技能「介護」の在留者は2025年12月末で67,871人。受入れ見込数(上限)126,900人の半分をすでに超えました。この記事では、介護事業者・施設の担当者向けに最新の制度動向と、今から準備すべきことをまとめます。
- 特定技能・技能実習/育成就労・EPA・在留資格「介護」の違い
- 育成就労への移行スケジュールと、今いる技能実習生の扱い
- 2025年4月に解禁された訪問介護への従事要件
- パート合格による在留延長と、2027年の支援体制の改正
介護分野の外国人材|4つの受入れルート比較
即戦力をすぐに採用するなら特定技能、未経験者を3年かけて育てるなら育成就労(2027年3月までは技能実習)が基本の選び方です。どのルートも、最終的には介護福祉士を取得して在留資格「介護」へ移るのが長期定着の道です。
| ルート | 目的 | 在留期間 | 日本語・技能の要件 | 家族帯同 |
|---|---|---|---|---|
| 特定技能1号「介護」 | 人手不足への即戦力 | 通算最長5年 (パート合格で延長あり) |
介護技能評価試験+介護日本語評価試験+日本語試験(技能実習2号修了者は免除) | 不可 |
| 技能実習「介護」新規終了へ | 技能移転(国際貢献) | 最長5年 | 入国時に日本語能力要件あり | 不可 |
| 育成就労「介護」2027年4月〜 | 人材の育成と確保 | 原則3年→特定技能1号へ | 入国時に日本語A2.2相当以上、段階的に技能試験 | 不可 |
| EPA介護福祉士候補者 | 経済連携・国家資格の取得 | 原則4年 | 相手国(インドネシア・フィリピン・ベトナム)ごとの要件 | 不可(資格取得後は可) |
| 在留資格「介護」 | 介護福祉士として就労 | 更新に上限なし | 介護福祉士の資格 | 可 |
※表は横にスクロールできます
特定技能と育成就労は、事業所ごとに「日本人等の常勤介護職員の総数」までしか受け入れられません(分野別運用方針)。
技能実習は2027年4月に「育成就労」へ
技能実習で新しく受け入れるなら、計画の認定申請は2027年3月31日が期限です。育成就労は「3年で特定技能1号の水準まで育てる」制度で、介護分野の受入れ見込数は2027〜2028年度の2年間で33,800人です。
移行スケジュール
- 2027年3月31日技能実習計画の新規認定申請の期限
- 2027年4月1日育成就労制度の施行。特定技能の支援体制ルールも同日に改正
- 2027年6月30日3月末までに申請した計画で技能実習を始められる原則の期限
- 施行日に在留中の実習生今の計画のまま修了まで継続可能。育成就労への自動切替えはなし
1号から2号へは移れますが、3号へは移れません。2号から3号へは、2号を1年以上実施していることが条件です(経過措置の解説)。
介護分野の育成就労のポイント
- 育成期間は3年。初級試験(1年経過時)→専門級(修了時)と段階的に確認する
- 入国時の日本語は「日本語教育の参照枠」A2.2相当以上
- 本人意向の転籍(職場変更)が一定条件で認められる。介護分野の転籍制限期間は2年
- 受入れ機関は分野別の協議会に入り、その措置を守る
転籍が可能になるため、賃金や教育体制の差がそのまま定着率の差になります(出典:分野別運用方針)。
訪問介護は2025年4月から外国人材も従事可能に
2025年4月から、技能実習生と特定技能外国人も訪問介護などの訪問系サービスに従事できるようになりました。ただし「本人の要件」と「事業所の遵守事項」の両方を満たす必要があります(厚生労働省資料)。
- 原則、1年以上の介護事業所等での実務経験がある
- 介護職員初任者研修などを修了している
- 訪問介護業務の基本研修
- サービス提供責任者等の同行OJT
- 業務説明とキャリアアップ計画の作成
- ハラスメント対策(マニュアル・相談窓口)
- ICT活用など緊急時の環境整備
このほか、利用者・家族への書面説明と署名、国際厚生事業団(JICWELS)への適合確認申請、巡回訪問への対応も必要です。外国人職員に訪問を任せる前に、同行訪問の期間と担当者を決めておくとスムーズです。
特定技能「介護」の人数・在留延長・支援体制の改正
在留者は受入れ上限の半分を超えた
1年で約53%増え、上限に対して約50%に達しました。民間の試算では、今のペースが続くと2027年ごろに上限へ達する可能性があるとされます(政府の見通しではありません。参考)。採用を検討中なら、早めに動く価値があります。
パート合格で「通算5年」を超えて働けるように
2026年1月21日の通知で、介護福祉士国家試験のパート合格を活用した在留延長の仕組みが始まりました。通算5年の期限が来ても、条件を満たせば特定技能1号のまま受験を続けられます(厚生労働省)。
- 対象:通算5年が切れる前の最後の国家試験で、一部のパートに合格し、合格基準の8割以上(52点以上)を取った人
- 手続き:受入れ施設が確認依頼書、試験結果、在留カードの写し、学習計画をまとめて厚生労働省へ郵送(登録支援機関ではなく施設が提出)
2027年4月から支援体制のルールが厳しくなる
育成就労と同じ日に、特定技能1号の支援体制の要件も改正されます(出入国在留管理庁資料)。
- 支援責任者と支援担当者を、常勤の役員・職員から各1人以上選ぶ(兼務可)
- 支援責任者に入管法・労働法令などの養成講習の受講を義務づけ
- 支援担当1人あたりの上限:特定技能外国人50人未満、登録支援機関の受託は10機関未満
登録支援機関に委託している施設は、委託先が新基準に対応できるかを確認しておきましょう。
介護事業者が今やるべき7つのこと
2027年4月までの半年で、次の7点を確認しておくと安心です。
- 事業所ごとの受入れ上限(日本人等の常勤介護職員数)を数え直す
- 技能実習で新規受入れするなら、2027年3月31日までに認定申請する
- 育成就労で受け入れるなら、監理支援機関(今の監理団体)の許可取得状況を確認する
- 転籍されない職場づくり(賃金水準、教育計画、生活支援)を見直す
- 訪問系サービスに配置するなら、初任者研修の受講と同行OJTの計画を立てる
- 通算5年が近い特定技能職員の国家試験受験を支え、パート合格延長の手続きを把握する
- 支援を自社で行うか委託するかを、新しい支援体制の基準に照らして決める
よくある質問
特定技能「介護」と技能実習「介護」の違いは何ですか?
特定技能は人手不足を補う即戦力の受入れ制度で、試験合格が条件です。技能実習は技能移転を目的とした制度で、2027年4月からは「育成就労」に置き換わります。
育成就労はいつから始まりますか?
2027年4月1日に施行されます。技能実習計画の新規認定申請は2027年3月31日が期限です。
今いる技能実習生は育成就労に切り替わりますか?
自動では切り替わりません。施行日に在留中の実習生は、今の計画のまま修了まで技能実習を続けられます。
外国人の介護職員は訪問介護に従事できますか?
2025年4月から可能です。原則1年以上の実務経験と初任者研修等の修了が必要で、事業所には同行OJTやハラスメント対策などの遵守事項があります。
特定技能1号「介護」は5年を超えて働けますか?
介護福祉士国家試験でパート合格し、合格基準の8割以上の得点があるなど条件を満たせば、通算5年を超えて在留を延長できます。介護福祉士に合格すれば在留資格「介護」に移行でき、更新の上限はありません。
まとめ
介護分野の外国人材は、「受け入れる」段階から「育てて定着させる」段階に入っています。育成就労の転籍、パート合格による在留延長、訪問介護の解禁は、どれも施設の教育力と待遇が問われる変化です。制度は今後も細かな運用が変わるため、最新の正式情報は下の出典で確認してください。
- 介護分野における特定技能及び育成就労の制度の運用に関する方針(法務省・厚生労働省)
- 1号特定技能外国人への支援体制に係る要件の主な改正点(出入国在留管理庁)
- 外国人介護人材の訪問系サービスへの従事について(厚生労働省)
- パート合格による特定技能1号の通算在留期間の延長措置(厚生労働省)
- 技能実習から育成就労への経過措置(行政書士事務所の解説)
- 特定技能「介護」受入れ枠、2027年にも上限到達か(ASCare)
※本記事は2026年10月1日時点の公開情報をもとに作成しています。個別の手続きは出入国在留管理庁・厚生労働省の最新情報や専門家にご確認ください。