ここまでの連載で、少し厳しい話が続いてきたかもしれません。
「きれいな仕事ではない」「かわいそうでは支援にならない」「線を引く」「向いていない人がいる」。
福祉や外国人支援の仕事に対して、あえて夢のある言葉を並べてこなかったのは、理由があります。
それでもなお、この仕事を選びたいと思う人がいるなら、その人には、ぜひ知っておいてほしいことがあります。
派手な達成感は、ほとんどない
この仕事には、分かりやすい成功体験があまりありません。
劇的に人生が好転する瞬間に立ち会えることは、正直言って多くはありません。
むしろ多いのは、「何も起きなかった」「大きなトラブルにならずに済んだ」という結果です。
生活が破綻せずに続いた。
仕事が急に途切れなかった。
在留資格が守られた。
関係機関との信頼が壊れなかった。
こうした“何も起きなかった日常”の積み重ねが、この仕事の成果です。
評価されにくい仕事を、淡々とやり続ける
支援の多くは、誰かに褒められることも、感謝されることもなく終わります。
それどころか、「もっと何とかならなかったのか」「冷たい」と言われることもあります。
正しくやっているはずなのに、納得してもらえない場面もあります。
それでも、淡々と続ける。
感情に振り回されず、制度と現実を見据えて、目の前の支援を積み重ねる。
この地味さに耐えられるかどうかが、この仕事を続けられるかどうかの分かれ目です。
それでも、確かに支えている実感がある
派手さはなくても、この仕事には確かな手応えがあります。
問題が起きる前に防げたとき。
最悪の選択を避けられたとき。
誰かが「なんとか生活を続けられている」と感じられたとき。
その瞬間に、「ああ、この仕事をしていてよかった」と思うことがあります。
表に出ることは少なくても、確実に誰かの人生の土台を支えている。
その実感は、この仕事を続ける大きな支えになります。
向いている人は、「割り切れる人」
この仕事に向いているのは、強い人ではありません。
すべてを救える人でもありません。
向いているのは、割り切れる人です。
できないことはできないと受け止める。
感情と判断を切り分ける。
完璧を目指さず、現実的な最善を積み重ねる。
その割り切りは、冷たさではありません。
長く続けるための、現実的な優しさです。
一緒に働くなら、こういう人と
もし一緒に働くとしたら、私は次のような人と仕事がしたいと思っています。
分からないことを分からないと言える人。
迷ったときに、相談できる人。
感情に流されそうになっても、一度立ち止まれる人。
そして、「それでもやりたい」と思える人です。
楽ではないことを知った上で、それでもこの仕事を選ぶ。
その覚悟を持っている人となら、長く一緒に働けると感じています。
次回はいよいよ最終回です。
「価値観が合う人と、長く仕事をしたい」というテーマで、この連載を締めくくります。