【第5回】報連相が遅れると、何が起きるのか

有限会社S.A.アソシエーションで、私がスタッフに何度も伝えていることがあります。

「この仕事で一番危険なのは、ミスではありません。黙ることです。」

福祉や外国人支援の現場では、日々さまざまな出来事が起こります。予定外の相談、本人の体調や気持ちの変化、事業所や行政からの急な連絡。すべてが想定通りに進む日は、ほとんどありません。

だからこそ、この仕事では「報連相」が命綱になります。

小さな遅れが、大きな事故になる

大きなトラブルは、ある日突然起きるわけではありません。多くの場合、最初はとても小さな違和感から始まります。

「少し様子を見よう」「今すぐ共有しなくても大丈夫だろう」「大したことではなさそうだ」。こうした判断が、後になって大きな問題へと膨らんでいきます。

たとえば、本人の発言の変化、体調の不調、事業所との行き違い。早い段階で共有されていれば、選択肢はいくつもあったはずです。しかし報告が遅れることで、対応の幅は一気に狭まります。

福祉や外国人支援は、一つひとつが連鎖しています。情報が一つ止まるだけで、支援全体が歪み始めます。

一人で判断していい仕事は、ほとんどない

この仕事では、「自分で何とかしよう」とする人ほど危うい場面があります。責任感が強く、真面目な人ほど、「もう少し整理してから報告しよう」「迷惑をかけたくない」と考えてしまうのです。

しかし、S.A.アソシエーションでは、一人で判断していい仕事は、ほとんどありません。

制度、契約、行政対応が絡む以上、個人の判断だけで完結することはほぼありません。早く共有すれば、別の視点が入り、修正も可能です。しかし黙ったまま進めると、間違いが確定してから表に出てきます。

「大したことない」は、後から一番怖い

報連相が遅れる理由として、最も多いのがこの言葉です。

「大したことじゃないと思いました」

しかし、その出来事が大したことかどうかを決めるのは、現場の個人ではありません。行政や制度、契約の視点から見ると、思わぬリスクを含んでいることもあります。

「大したことない」と感じた時こそ、共有する。それくらいでちょうどいい仕事だと考えています。

早く言った人ほど、守られる

S.A.アソシエーションでは、早めに共有した人を責めることはありません。むしろ、その行動を評価します。

完璧に整理されていなくてもいい。結論が出ていなくてもいい。「今こういう状況です」「ここで止まっています」という途中経過で構いません。

私はよく、こう伝えています。

「怒られるかも、と思った時点で、それはもう報告のタイミングです。」

報連相は、スキルというより姿勢です。黙らないこと、抱え込まないこと。それが、本人を守り、支援を守り、結果として自分自身を守ることにつながります。

黙らない組織でありたい

支援の現場で本当に怖いのは、問題が起きることではありません。問題が起きているのに、誰も口にしなくなることです。

だからこそ私たちは、「黙らない」ことを大切にしています。報告が多すぎるくらいで、ちょうどいい。そう思える組織でありたいと考えています。

次回は、「ミスをした人は守る。隠した人は守れない」というテーマで、責任の考え方について書いていきます。