【第4回】なぜS.A.アソシエーションは「線を引く」のか

支援の仕事をしていると、ときどきこんな言葉をかけられることがあります。

「冷たいですね」「そこまで距離を取らなくてもいいのではないですか」

正直に言えば、その言葉にまったく心が動かないわけではありません。それでも、有限会社S.A.アソシエーションでは、意識的に「線を引く支援」を大切にしています。

それは、本人を突き放すためではありません。むしろ、守るために必要な線だと考えているからです。

距離が近すぎると、支援は歪み始める

福祉や外国人支援の現場では、関係性が近くなりやすい土壌があります。困っている状況を知り、頼られ、感謝される。そうした積み重ねの中で、「この人だけは特別に」「何とかしてあげたい」という気持ちが強くなることがあります。

しかし、距離が近くなりすぎると、支援は少しずつ歪み始めます。

判断が甘くなる、ルールを超えてしまう、他の人との不公平が生まれる。本人のためと思ってやったことが、結果的に本人を苦しめてしまうことも少なくありません。

私的な関係は、支援を壊してしまう

S.A.アソシエーションでは、私的な連絡や過度な感情の共有を、原則として控えています。これは冷たさではなく、支援を仕事として続けるための最低限のルールです。

私的な関係が入り込むと、断れなくなり、判断が揺らぎ、終わりの見えない関わりになります。その結果、支援する側も支援を受ける側も、消耗してしまいます。

「そこまでしてくれなくていい」「仕事としてやってほしい」。そう言われる関係性の方が、長く安定した支援につながることもあります。

線を引くのは、見捨てるためではない

線を引くと、「見捨てられた」と感じる方もいます。しかし、私たちは見捨てているわけではありません。

できることとできないことを明確にし、役割をはっきりさせ、続けられる形を選ぶ。その積み重ねが、結果として本人の生活を守ることにつながります。

すべてを背負おうとすると、支援は短期間で終わってしまいます。続けるためには、限界を知り、線を引く必要があります。

距離感は、性格ではなく「技術」

この仕事に必要なのは、感情をなくすことではありません。大切なのは、気持ちは受け止めつつ、判断は組織として行うことです。

距離感は、生まれつきの性格ではなく、意識して身につける技術です。線を引けるからこそ、冷静に判断でき、長く支援を続けることができます。

次回は、「報連相が遅れると、何が起きるのか」というテーマで、現場で本当に怖い話を書いていきます。