【第1回】なぜ私は「価値観の話」を最初にするのか

年明け早々、会社のブログで、いきなり「価値観」の話から始めるのは、正直あまり受けがいいやり方ではないと思っています。事業内容や実績、やりがいや社会的意義を書いた方が、よほど分かりやすいでしょう。

それでも私は、有限会社S.A.アソシエーションの代表として、まず最初に「価値観の話」をすることを選びました。理由は単純です。この仕事は、「何をするか」よりも、「どんな考え方で向き合うか」によって結果が大きく変わる仕事だからです。

福祉や外国人支援の現場では、知識や経験があるだけでは足りません。日々の判断の積み重ねが、そのまま誰かの生活や将来に影響します。その判断の軸がズレていると、どれだけ善意があっても、必ずどこかで無理が生じます。

いい人でも、合わないことがある

これまで多くの人と仕事をしてきました。その中で強く感じているのは、「人としてはとてもいい」「やさしい」「真面目で誠実」、それでもこの仕事には合わないというケースが、確実に存在するということです。

福祉や外国人支援の仕事は、「人の役に立ちたい」「困っている人を助けたい」という気持ちがなければ続きません。ただ一方で、やさしさだけでは守れない場面が、日常的に起きます。

制度、法律、契約、行政対応。相手の気持ちに寄り添いながらも、「それはできない」「今は難しい」と伝えなければならない場面があります。これは能力や努力の問題ではありません。人格の良し悪しでもありません。価値観の違いです。

小さな会社ほど、ズレは致命傷になる

S.A.アソシエーションは、決して大きな会社ではありません。だからこそ、一人ひとりの判断や行動が、支援全体に大きな影響を与えます。

一人の判断ミスが、利用者の生活に影響し、外国人本人の在留や就労に影響し、受け入れ事業所や行政との信頼関係にまで波及することがあります。「善意だった」「悪気はなかった」という言葉では、取り返しがつかない場面もあります。

善意でも事故は起きる。この現実を、最初に伝えておきたいのです。

排除したいわけではない

誤解してほしくないのですが、私は「合わない人を排除したい」と思っているわけではありません。むしろ逆です。

価値観が合わないまま無理に続けることで、本人が消耗し、周囲が疲弊し、結果として支援の質が落ちてしまう。その方が、よほど残酷だと感じています。

だからこそ、最初に伝えます。この会社はこういう考え方で仕事をしています、と。先に話すことが、誰かを守ることにつながると、私は考えています。

次回:福祉と外国人支援は「きれいな仕事」ではない