外国人介護士とのコミュニケーション、5つの工夫

言葉の壁を越える現場のリアル

「外国人スタッフと、うまくコミュニケーション取れるかな…」
「言葉が通じないと、利用者さんが困るのでは?」

外国人介護士を受け入れるにあたり、多くの事業所が最初にぶつかるのが“言葉の壁”への不安です。
でも、実際の現場では工夫次第でしっかり意思疎通できるようになります。

今回は、介護現場で実際に行っている「外国人スタッフとのコミュニケーションの工夫」を5つご紹介します。


■ ① やさしい日本語を使う

これは基本中の基本ですが、意外と見落としがちです。

たとえば、

❌「この利用者さん、便のコントロールが悪いから、パッド交換のタイミング見てね」
⭕「この人はトイレが間に合わないことがあるから、こまめにパッドをかえてください」

「便のコントロール」や「タイミングを見る」などの曖昧な表現は、日本人同士では通じても、外国人にとっては抽象的で理解が難しい場合があります。

👉 ポイントは、短く・簡単に・直接的に伝えること。
難しい漢字や専門用語はなるべく避け、平易な単語で置き換えるとスムーズになります。


■ ② 翻訳アプリは“使い方”が大事

近年は「Google翻訳」や「VoiceTra」など、高性能な翻訳アプリがあります。
しかし、翻訳に頼りきりでは意思疎通がかえって複雑になることも。

大事なのは、「アプリは補助」と捉えることです。

✔ 長文よりも、短く簡潔に入力する
✔ 感情を伝えるときは、表情やジェスチャーも添える
✔ 翻訳の結果が微妙だったときは、その場で言い換えてあげる

たとえば、「もうすぐお風呂の時間だよ」というとき、
アプリで出た翻訳が不自然だった場合は、身振りやイラストで補いましょう。

👉 翻訳アプリは**“万能”ではなく“サポートツール”**です。


■ ③ 利用者さんと一緒に“覚える”

外国人スタッフに対して、最初は不安を感じる利用者さんも少なくありません。
でも実は、一番の“先生”は利用者さんだったりします。

「○○さん、これは“お茶”って言うんだよ」
「『ありがとう』って言えたの?えらいねえ」

こうした日常の関わりの中で、言葉のやりとりが生まれ、自然な関係が育ちます。
言葉を教えることが、コミュニケーションそのものになるのです。

👉 利用者さんを巻き込んで、「一緒に覚える・育てる」関係性が築けると、場の雰囲気がやわらぎます。


■ ④ ピクトグラムや掲示で“見える化”

口頭での伝達だけでなく、「視覚的に伝える工夫」も有効です。

たとえば…

  • 食堂の入口に「ご飯マーク」+「12:00」

  • ゴミ出しの曜日を色分け+イラストで表記

  • 利用者のバイタル表を、イラスト+やさしい日本語で共有

日本語が完全に読めないスタッフにとって、視覚からの情報はとても重要です。

👉 “外国人向け”ではなく“誰にでもやさしい環境づくり”の意識が、結果的にチーム全体の理解度アップにつながります。


■ ⑤「ありがとう」を言葉と表情で伝える

最後に一番大事なことを。

どれだけ日本語がうまくなっても、文化の違いで戸惑ったり、自信をなくしたりすることはあります。
そんなときに何よりも響くのが、感謝の言葉と笑顔です。

「ありがとう」「助かったよ」「頑張ってくれてるね」
これらの言葉は、どんな言語の壁よりも、人の心をつなげる力があります。

👉 コミュニケーションの原点は、**“伝わる”ではなく“伝えようとする姿勢”**です。


■ まとめ:「伝わる」より「伝え合う」が大事

外国人介護士とのコミュニケーションには、確かに言葉のハードルがあります。
でも、それは“超えられない壁”ではなく、工夫と想いで乗り越えられる段差のようなものです。

私たちの現場でも、最初は不安だったスタッフが、
半年後には利用者さんと笑いながら冗談を言い合えるようになった例がいくつもあります。

完璧な日本語より、心が通う関係性。

そんな現場づくりを、私たち支援機関も全力でサポートしていきます。