介護×外国人材 実際どうなの?現場のリアルを語ります

少子高齢化が進む日本では、介護の人手不足が年々深刻化しています。その解決策の一つとして注目されているのが、外国人介護人材の受け入れです。

「でも実際のところ、外国人のスタッフってどうなの?」「言葉は通じるの?」「利用者さんは嫌がらない?」
そんな声をよく耳にします。

今回は、介護現場に20年以上関わり、現在は外国人介護人材の登録支援機関も運営している私の視点から、“介護×外国人材”のリアルをお伝えします。


■ 最初は不安だらけ。でも、それは“誰でも”一緒

まずお伝えしたいのは、**「不安なのは当たり前」**ということ。
言葉の壁、文化の違い、宗教の違い──初めて外国人材を受け入れる側も、来日する本人たちも、不安を抱えながら一歩を踏み出しています。

でも、それって実は「日本人の新人スタッフ」も同じなんです。
初めての介護、初めての環境。右も左も分からず不安で当然。
外国人だから…と特別に構えすぎると、逆にうまくいかなくなることもあります。


■ 利用者さんの反応は?「ええ子やね」が第一声だった

「日本語が通じんと、利用者さんが怒るんじゃないか」と心配する声もありますが、
実際の現場ではそんなことはほとんどありません。

もちろん、日本語のイントネーションや細かなニュアンスに課題はあります。
でも、それを補って余りあるのが、まっすぐな気持ちと態度です。

私がサポートしたインドネシア人の介護士が、利用者の手をとって笑顔で「おはようございます」と声をかけたとき、その利用者さんは一言、「ええ子やね」と笑ってくれました。

その瞬間、言葉以上に大事なものが伝わっていたんだと思います。


■ 文化の違いが“気づき”をくれる

ある日の出来事。
入浴介助中、外国人スタッフが「シャワーのお湯、熱すぎます」と言ってきました。
私が支援する施設では特に問題ない温度だったのですが、
その一言をきっかけに見直してみると、確かに高齢者の皮膚にはやや刺激が強い温度でした。

こうした文化や感覚の違いが、思いがけず新しい視点や改善のきっかけになることもあります。
異なるバックグラウンドの人が加わることで、現場に「気づき」が生まれる。これは大きな財産です。


■ 定着には「現場」と「登録支援機関」の連携がカギ

もちろん、うまくいくためには体制づくりが不可欠です。
特定技能などの在留資格で働く外国人には、「登録支援機関」が支援を行います。

具体的には、

  • 入国後のオリエンテーション

  • 生活面のサポート(住居、役所手続き、銀行口座など)

  • 日本語学習のフォロー

  • メンタル面の相談対応 など

私たちのような登録支援機関が、介護現場と連携して橋渡し役を担うことで、
外国人スタッフが安心して働き、定着できる環境が整います。


■ 実際、戦力になっているのか?

結論から言えば、**「十分に戦力になる」**と感じています。
もちろん、最初から即戦力というわけにはいきません。
日本語、介護技術、コミュニケーション、すべて一歩ずつです。

ですが、彼ら・彼女らの吸収力と向上心は驚くほど高いです。
一度理解すると、次からは自主的に動けるようになりますし、何より**「人に喜ばれる仕事がしたい」という原点の気持ち**が強い。

その根底にあるのは「家族のために頑張りたい」「介護の仕事が好き」という純粋な気持ち。
これは国籍に関係なく、介護の原点だと思います。


■ まとめ:不安より「チャンス」に目を向けてみては?

介護の現場に外国人材が入ることで、不安や戸惑いはゼロではありません。
でも、その一歩を踏み出した先に、新しい風や気づき、チームの成長があります。

私たちも日々、彼らから学ぶことがたくさんあります。
「人手不足のために仕方なく受け入れる」のではなく、
「多様な人材とともに、より良いケアをつくっていく」──
そんな意識を持てば、きっと介護現場はもっと豊かになるはずです。